← 解説の一覧へ更新:2026.10.05 MON
日本のAIのルール・ガイドライン
日本にはAIの法律「AI推進法」と、国のガイドラインがあります。罰則はあるの?会社で何に気をつければいい?しくみと流れをやさしく解説します。
かんたんまとめ
- 日本のAIの基本になる法律は「AI推進法」。2025年9月に全面施行され、罰則はなく、AIの研究や活用を進めることが中心
- 会社がどう取り組むかの目安は、国が出す「AI事業者ガイドライン」などで示されている
- 著作権や個人情報など、今ある法律はAIを使うときもそのままあてはまる
マウ
日本にも、AIの法律ってあるの?
ビット
あるよ。2025年にできた「AI推進法」だね。ただ、使い方を禁止したり罰金を科したりする法律ではなくて、AIの研究や活用を進めるための法律なんだ。具体的な使い方は、法律とは別のガイドラインで示すしくみになっているよ。
法律(AI推進法)国がAIをどう進めるかの方針を決める。会社には国の取り組みに協力するよう求めるが、罰則はない
ガイドラインAIを作る・提供する・使う会社がどう取り組むかの目安。法的な強制力はなく、自主的に守ることが期待される
今ある法律著作権法や個人情報保護法などは、AIを使っても変わらずあてはまる。違反すれば罰則もある
マウ
罰則がないなら、守らなくてもいいってこと?
ビット
そうじゃないよ。AIで人の権利が傷つけられるような問題が起きたら、国が調べて、会社に助言などをするしくみがある。それに、著作権や個人情報のルールは罰則つきでそのまま生きているんだ。
- 2023年5月G7広島サミットで「広島AIプロセス」が始まる。日本が中心になって、生成AIの国際的なルールづくりを進めた
- 2024年2月AIの安全性を調べる「AIセーフティ・インスティテュート(AISI)」ができる
- 2024年3月文化庁が「AIと著作権に関する考え方について」をまとめる
- 2024年4月総務省と経済産業省が「AI事業者ガイドライン」を公表(2025年3月に第1.1版)
- 2025年9月AI推進法が全面施行。首相をトップにした「人工知能戦略本部」ができる
- 2025年12月国のAIの進め方をまとめた「人工知能基本計画」を閣議決定
マウ
ガイドラインには、どんなことが書いてあるの?
ビット
AIに関わる会社を「作る」「提供する」「使う」の3つの立場に分けて、それぞれ気をつけることが書いてあるよ。仕事でAIを使うぼくたちの会社は「AI利用者」にあたるんだ。
AI開発者
AIのしくみ(モデル)を作る会社
AIのしくみ(モデル)を作る会社
AI提供者
AIを組みこんだサービスや製品を提供する会社
AIを組みこんだサービスや製品を提供する会社
AI利用者
仕事でAIを使う会社や、そこで働く人
仕事でAIを使う会社や、そこで働く人
決められた使い方を守る提供する会社が示した使い方の範囲で、正しく使う
入れる情報に気をつける個人情報や秘密の情報をむやみに入れない
人が判断するAIの結果をうのみにせず、説明できる形で使う
マウ
「今ある法律もあてはまる」って、たとえばどんなこと?
ビット
身近なのは著作権と個人情報だね。AIに作品を学ばせる場面と、AIで作ったものを使う場面とで、考え方が分かれるんだ。
著作権:学ばせるときAIの学習に作品を使うことは、原則として許可がなくてもできる(著作権法30条の4)。ただし、作品の持ち主の利益を不当に害する場合は別
著作権:作ったものを使うときAIで作った文章や画像が今ある作品に似ていて、その作品をもとにしていれば、ふつうの作品と同じく権利の侵害になりうる
個人情報AIに個人情報を入れるときも、個人情報保護法のルールがそのままあてはまる。国の個人情報保護委員会も2023年に注意を呼びかけている
今回のポイント
- まずは会社のAIのルールを確かめる。国のガイドラインは、そのルールづくりの目安にもなっている
- AIで作った文章や画像を外に出す前に、だれかの作品に似ていないかを確かめる
- 個人情報は、入れる前に入れてよい情報かを考える(くわしく)
- AIの制度は新しく、見直しも多い。気になるときは国の公式の発表を見る
マウ
日本は、きびしく禁止するより、まず進めることを大事にしているんだね。
- AI推進法
- 正式には「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」。日本のAIの基本になる法律で、2025年9月に全面施行。罰則はない
- AI事業者ガイドライン
- 総務省と経済産業省が出している、AIを作る・提供する・使う会社向けの目安。法的な強制力はない
- 人工知能基本計画
- AI推進法にもとづいて国が作る、AIの研究や活用をどう進めるかの計画
- AISI
- AIセーフティ・インスティテュート。AIの安全性を確かめる方法などを調べる日本の機関で、2024年2月にできた
参考:AI推進法(政府広報) ↗人工知能基本計画(内閣府) ↗AI事業者ガイドライン 第1.1版(総務省・経済産業省) ↗AIと著作権(文化庁) ↗